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Fintech研究所

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マネーフォワードCoPA(Chief of Public Affairs)の瀧と、パブリック・アフェアーズを担当するメンバーが、Fintechに関する情報や政策動向等について発信…
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#API

銀行口座から公益サービスまで、世界各国で進むオープンAPI政策と日本の現在地

 以前に当研究所のnoteでもご紹介をしていた各国のオープンAPI政策(オープンバンキング制度を含みます)についてですが、その後EU、米国などでも制度改正や新規導入などの動きがありました。  本稿ではそれらの動きも紹介しつつ、オープンAPI政策の全世界的な状況を、改めて解説したいと思います。 <過去の関連note> そもそも「オープンバンキング」「オープンAPI」とは?  「オープンバンキング」は、一般的には銀行にある入出金履歴などの金融データに、家計簿サービスや会計サ

カナダとニュージーランドのオープンバンキング制度

 これまでのnoteで欧州、米国などのオープンバンキング制度をご紹介してきましたが、今回はカナダとニュージーランドの制度をご紹介します。  両国とも隣国である米国、豪州のオープンバンキングの制度の影響を受けていますが、独自に進化している部分もあります。例えばカナダは「Reciprocity」と呼ばれるデータの相互融通の仕組み、ニュージーランドでは豪州には無い送金の機能が追加されており、各国がそれぞれの国の実情に応じて、進化を遂げている状況が分かります。 <過去のnote>

欧州が「PSD3」で目指すオープンファイナンス戦略

 欧州委員会は2023年6月28日、EU加盟国の決済サービス・事業者を規制する法的枠組み「決済サービス指令」の第3版(PSD3=Payment Service Directive3)案を公表した。欧州の決済サービス関連法令には、フィンテック企業を含めたエコシステム形成を目指したPSD2(Payment Services Directive2)が存在していたが、PSD3はこれをさらに強化するものとなっている。  本稿では、PSD3の概況について、エコシステム形成の観点から日本に

着実に進化する各国のオープンバンキング制度

 銀行とFintech企業が協調できるエコシステム形成などを目的として、オープンバンキングの制度が2010年代後半から各国に導入され、一定の期間が経過しました。  日本では2018年の改正銀行法の施行により、電子決済等代行業という新たな登録業種が設けられ、同業による銀行情報へのアクセスをつうじて、家計簿や会計等のサービスが提供されてきています(マネーフォワード社も電子決済等代行業の登録を行っています)。  近年、海外でもオープンバンキング関連の動きの活発化が見られますので、そ