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Fintech研究所

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マネーフォワードCoPA(Chief of Public Affairs)の瀧と、パブリック・アフェアーズを担当するメンバーが、Fintechに関する情報や政策動向等について発信…
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記事一覧

カナダとニュージーランドのオープンバンキング制度

 これまでのnoteで欧州、米国などのオープンバンキング制度をご紹介してきましたが、今回はカナダとニュージーランドの制度をご紹介します。  両国とも隣国である米国、豪州のオープンバンキングの制度の影響を受けていますが、独自に進化している部分もあります。例えばカナダは「Reciprocity」と呼ばれるデータの相互融通の仕組み、ニュージーランドでは豪州には無い送金の機能が追加されており、各国がそれぞれの国の実情に応じて、進化を遂げている状況が分かります。 <過去のnote>

【Society Forward対談 | 牧島かれん氏・後編】実現したい日本社会を目指して、少しでも前へ。

”日本の未来を前に進めるビジョンとそれを実現するための政策”に焦点をあて、社会を前へ進めるキーパーソンへ、マネーフォワードFintech研究所長である瀧がお話を伺う新連載「Society Forward対談」。衆議院議員・牧島かれんさんとの対談の後編となります。 (※この対談は、2024年8月20日に実施しました) 前編はこちら。 議員人生は「山登りの連続」。転んでも少しずつ前へ。瀧:牧島さんは、選挙に当選するまでは研究者として活動されていましたね。研究者の世界と政治家の

【Society Forward対談 | 牧島かれん氏・前編】これからの日本に必要な、若者と女性の力

私たちマネーフォワードは「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションとしており、すべての人のお金の課題を解決し、チャレンジできる社会づくりを目指しています。今回から、”日本の未来を前に進めるビジョンとそれを実現するための政策”に焦点をあて、社会を前へ進めるキーパーソンへ、マネーフォワードFintech研究所長である瀧がお話を伺う新連載「Society Forward対談」をスタートします。 第一弾は、衆議院議員の牧島かれんさんです。第2代デジタル大臣であり、今年6月の自民

【World Fintech News ゲスト対談】ブルーモ証券CEO中村仁さん 〜創業秘話、日本と世界の投資環境の違い、注目のFintechトレンドまでマニアックトーク〜

マネーフォワード Fintech研究所は、「mffm」というPodcastにて海外のFintechに関するニュースを隔週ペースで読んでいく「World Fintech News」を運営しています。 Apple Podcastはこちら Spotifyはこちら さて今回のゲスト対談は、米国株資産運用アプリ「Bloomo」を提供するブルーモ証券株式会社の代表取締役 CEOの中村仁さんをゲストにお招きしました。 日本経済や投資環境への課題意識からブルーモ証券の創業に至った経緯

【World Fintech News ゲスト対談】日経BP編集者 石さん 〜マイケル・ルイス最新刊「1兆円を盗んだ男 仮想通貨帝国FTXの崩壊」を語る〜

マネーフォワード Fintech研究所は、「mffm」というPodcastにて海外のFintechに関するニュースを隔週ペースで読んでいく「World Fintech News」を運営しています。 Apple Podcastはこちら Spotifyはこちら これまでは「耳」だけのコンテンツでしたが、不定期で配信する「ゲスト対談」については「目」でも楽しんでいただけるよう、今後一部は動画としても公開することにいたします! さて今回のゲスト対談は、マイケル・ルイスの最新作

消費者保護に立脚した米国のオープンバンキング制度

 以前に当研究所のnoteでもご紹介をしていた米国でのオープンバンキング制度の導入について、昨年10月に米国の消費者金融保護局(CFPB: Consumer Financial Protection Bureau、以下「同局」)が制度案(以下「本制度案」)の詳細を公表しました。全体としては「他国のオープンバンキング制度の状況に良く学んだ」と同局が公表しているとおり、現在のオープンバンキングの実相を適切に把握していると感じられる内容となっています。今回は、本制度案の内容を紹介し

世帯や家族構成に縛られない社会への期待ー自民党幸齢社会PT提言よりー

2024年5月に自民党 社会保障制度調査会 誰もが安心して歳を重ねることができる「幸齢社会」に向けた包括的支援プロジェクトチーム(幸齢社会PT)から、「『新しい社会保障』に向けて」と題した提言が出されました。 そこで、以前、このPTにも関わっているある議員の方とお話する機会があり、それ以来個人的にも気になっていたテーマ ―家族や親族を前提としない社会をどのように考えるか― について、この提言をなぞりつつ書いてみました。 「身寄りのない独居者」という社会課題 提言のサブタ

シリーズ:消費者政策の新展開を読み解く【リンク集】

2024年5月28日~6月10日にかけて公開した全7回の記事や関連サイトへのリンク集です。近接領域の記事を出した際には追加します。 記事へのリンク関連サイトへのリンク有識者懇談会の開催履歴の他、報告書(消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会における議論の整理)やその概要資料、参考資料などもこちらから取得できます。 消費者委員会についての基本的な説明に加えて、委員会本会議や各部会などの開催履歴・開催予定などへのリンクもこちらにあります。

消費者政策の新展開を読み解く~「消費者をエンパワーするデジタル技術」~【全7/7】

前回紹介した「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」に続いて、2024年4月30日に「消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会」が議論を開始しました。 6月5日に開催された第2回会合では、私たちもヒアリングの機会をいただき、グループ執行役員 CoPA、Fintech研究所長の瀧から当社のサービスの概要や制度上の課題などについて説明しました。 第1回会合からこの専門調査会の課題設定や議論の進め方を、また、第2回会合から、私たちマネーフォワードがなぜこ

消費者政策の新展開を読み解く~「消費者法制度のパラダイムシフト」~【全6/7】

ここまで、5回にわたって消費者庁の報告書(「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会における議論の整理 」)を見てきました。ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございます! 今回は、この報告書の問題意識を引き継いで、新たに昨年12月27日から議論を開始した消費者委員会の「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」について、見ていこうと思います。 そもそも「消費者委員会」とは? 専門調査会以前に、消費者委員会って何?消費者庁とは違うの?というと

消費者政策の新展開を読み解く~新たに消費者法に求められるものは何か(後編)~【全5/7回】

前回に続いて、「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会における議論の整理」の「3.消費者法に何が必要か」を見ていきます。 ここまでの議論をざっくりまとめると、(1)デジタル化の進展が法にもたらす影響として、消費者取引が法や契約のみではなく、デジタル技術・デジタルプラットフォームの影響を強く受けるようになったこと、また、AIによる個別化により、消費者が影響を受ける蓋然性がより高まっていることなどを指摘し、こうしたデジタル技術やAI、デジタルプラットフォームを射

消費者政策の新展開を読み解く~新たに消費者法に求められるものは何か(前編)~【全4/7回】

3回にわたって、「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会における議論の整理」を見てきました。いよいよ、(これからの)消費者法に何が必要か、という核心部分に入っていきます。2回に分けて見ていきます。 今回のポイント 法令以上にデジタル技術が取引を規定しうるという現実、また、AI等の技術による「個別化」の進展を踏まえ、これらの技術や、取引の場を提供するプラットフォーマーに対する規律を考える必要がある。(「デジタル化の進展が法にもたらす影響」) 高齢化の進展、

消費者政策の新展開を読み解く~消費者法の目的と役割を問い直す~【全2/7回】

前回につづいて、消費者庁の「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える 有識者懇談会における議論の整理 」(2023年7月)に沿って、消費者政策の新たな議論を見ていきます。 今回のポイント 消費者法の目的の捉え直し 消費者と事業者の対等な関係を担保するだけでなく、消費者の「脆弱性」に向き合う必要がある(メルクマールの刷新) 消費者の自由で自律的な意思決定の環境を担保するのみならず、消費者の幸福を実現をも射程に入れるべき 消費者の脆弱性等を利用した悪質な取引を排除し、

消費者政策の新展開を読み解く~消費者法の「対象」を捉え直す~【全3/7回】

前回まで、「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える 有識者懇談会における議論の整理 」の検討背景や「1 消費者法で何を実現するのか」を見てきました。 ごく簡単にまとめると、デジタル化の浸透により、消費者が合理的な意思決定を行うことが容易でなくなった現実(消費者の「脆弱性」)を受けとめ、消費者の「幸福」を実現するためには、消費者法制の在り方のみならず、インセンティブ設計や消費者の側に立ったテクノロジーの活用などを含めた社会のガバナンスを再構築していく必要性が指摘されています