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Fintech研究所

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マネーフォワードCoPA(Chief of Public Affairs)の瀧と、パブリック・アフェアーズを担当するメンバーが、Fintechに関する情報や政策動向等について発信…
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【World Fintech News ゲスト対談】日経BP編集者 石さん 〜マイケル・ルイス最新刊「1兆円を盗んだ男 仮想通貨帝国FTXの崩壊」を語る〜

マネーフォワード Fintech研究所は、「mffm」というPodcastにて海外のFintechに関するニュースを隔週ペースで読んでいく「World Fintech News」を運営しています。 Apple Podcastはこちら Spotifyはこちら これまでは「耳」だけのコンテンツでしたが、不定期で配信する「ゲスト対談」については「目」でも楽しんでいただけるよう、今後一部は動画としても公開することにいたします! さて今回のゲスト対談は、マイケル・ルイスの最新作

消費者保護に立脚した米国のオープンバンキング制度

 以前に当研究所のnoteでもご紹介をしていた米国でのオープンバンキング制度の導入について、昨年10月に米国の消費者金融保護局(CFPB: Consumer Financial Protection Bureau、以下「同局」)が制度案(以下「本制度案」)の詳細を公表しました。全体としては「他国のオープンバンキング制度の状況に良く学んだ」と同局が公表しているとおり、現在のオープンバンキングの実相を適切に把握していると感じられる内容となっています。今回は、本制度案の内容を紹介し

世帯や家族構成に縛られない社会への期待ー自民党幸齢社会PT提言よりー

2024年5月に自民党 社会保障制度調査会 誰もが安心して歳を重ねることができる「幸齢社会」に向けた包括的支援プロジェクトチーム(幸齢社会PT)から、「『新しい社会保障』に向けて」と題した提言が出されました。 そこで、以前、このPTにも関わっているある議員の方とお話する機会があり、それ以来個人的にも気になっていたテーマ ―家族や親族を前提としない社会をどのように考えるか― について、この提言をなぞりつつ書いてみました。 「身寄りのない独居者」という社会課題 提言のサブタ

シリーズ:消費者政策の新展開を読み解く【リンク集】

2024年5月28日~6月10日にかけて公開した全7回の記事や関連サイトへのリンク集です。近接領域の記事を出した際には追加します。 記事へのリンク関連サイトへのリンク有識者懇談会の開催履歴の他、報告書(消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会における議論の整理)やその概要資料、参考資料などもこちらから取得できます。 消費者委員会についての基本的な説明に加えて、委員会本会議や各部会などの開催履歴・開催予定などへのリンクもこちらにあります。

消費者政策の新展開を読み解く~「消費者をエンパワーするデジタル技術」~【全7/7】

前回紹介した「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」に続いて、2024年4月30日に「消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会」が議論を開始しました。 6月5日に開催された第2回会合では、私たちもヒアリングの機会をいただき、グループ執行役員 CoPA、Fintech研究所長の瀧から当社のサービスの概要や制度上の課題などについて説明しました。 第1回会合からこの専門調査会の課題設定や議論の進め方を、また、第2回会合から、私たちマネーフォワードがなぜこ

消費者政策の新展開を読み解く~「消費者法制度のパラダイムシフト」~【全6/7】

ここまで、5回にわたって消費者庁の報告書(「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会における議論の整理 」)を見てきました。ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございます! 今回は、この報告書の問題意識を引き継いで、新たに昨年12月27日から議論を開始した消費者委員会の「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」について、見ていこうと思います。 そもそも「消費者委員会」とは? 専門調査会以前に、消費者委員会って何?消費者庁とは違うの?というと

消費者政策の新展開を読み解く~新たに消費者法に求められるものは何か(後編)~【全5/7回】

前回に続いて、「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会における議論の整理」の「3.消費者法に何が必要か」を見ていきます。 ここまでの議論をざっくりまとめると、(1)デジタル化の進展が法にもたらす影響として、消費者取引が法や契約のみではなく、デジタル技術・デジタルプラットフォームの影響を強く受けるようになったこと、また、AIによる個別化により、消費者が影響を受ける蓋然性がより高まっていることなどを指摘し、こうしたデジタル技術やAI、デジタルプラットフォームを射

消費者政策の新展開を読み解く~新たに消費者法に求められるものは何か(前編)~【全4/7回】

3回にわたって、「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会における議論の整理」を見てきました。いよいよ、(これからの)消費者法に何が必要か、という核心部分に入っていきます。2回に分けて見ていきます。 今回のポイント 法令以上にデジタル技術が取引を規定しうるという現実、また、AI等の技術による「個別化」の進展を踏まえ、これらの技術や、取引の場を提供するプラットフォーマーに対する規律を考える必要がある。(「デジタル化の進展が法にもたらす影響」) 高齢化の進展、

消費者政策の新展開を読み解く~消費者法の目的と役割を問い直す~【全2/7回】

前回につづいて、消費者庁の「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える 有識者懇談会における議論の整理 」(2023年7月)に沿って、消費者政策の新たな議論を見ていきます。 今回のポイント 消費者法の目的の捉え直し 消費者と事業者の対等な関係を担保するだけでなく、消費者の「脆弱性」に向き合う必要がある(メルクマールの刷新) 消費者の自由で自律的な意思決定の環境を担保するのみならず、消費者の幸福を実現をも射程に入れるべき 消費者の脆弱性等を利用した悪質な取引を排除し、

消費者政策の新展開を読み解く~消費者法の「対象」を捉え直す~【全3/7回】

前回まで、「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える 有識者懇談会における議論の整理 」の検討背景や「1 消費者法で何を実現するのか」を見てきました。 ごく簡単にまとめると、デジタル化の浸透により、消費者が合理的な意思決定を行うことが容易でなくなった現実(消費者の「脆弱性」)を受けとめ、消費者の「幸福」を実現するためには、消費者法制の在り方のみならず、インセンティブ設計や消費者の側に立ったテクノロジーの活用などを含めた社会のガバナンスを再構築していく必要性が指摘されています

消費者政策の新展開を読み解く~デジタル化と消費者の「脆弱性」~【全1/7回】

パブリック・アフェアーズ活動の一環で、普段から関係しそうな省庁の更新情報などを追いかけています。そんな中、昨年末の内閣府の更新情報にあった「消費者法制度のパラダイムシフト」という言葉が目に留まり、なんとなく気になっていました。さらに、今春には「消費者をエンパワーするデジタル技術」なんて言葉も。これは、何やら面白い議論が動いているのではないか…ということで、これらのキーワードが出てきた背景や、足元の議論の状況などを追いかけてみました。 今回のポイント デジタル技術(インター

瀧さんに聞く!金融教育の『本質』(後編)

Fintech研究所瀧の対談シリーズ特別編。中編に続いて後編ではやるべき具体的なアクションについて話を進めてゆきます。 支出を減らす、収入を増やす、投資をする、この3つの本質有馬:前回はお金の不安の正体や、不安に打ち勝ちお金を上手に使う方法について伺いました。後編の今回は、お金を増やす方の話です。基本的なこととしては、支出を減らす、収入を増やす、投資をするの3点セットがありますが、1番大事なものはどれになるんでしょうか。 瀧:3つにはそれぞれ大きなタイムラグがあって、すぐ

瀧さんに聞く!金融教育の『本質』(中編)

Fintech研究所瀧の対談シリーズ特別編。前編に続いて中編では「お金の不安」の正体を紐解いていきます。 お金の不安の正体を分解してみよう有馬:前回は金融リテラシーは自己防衛のためにも必要というお話でした。中編の今回は、前回の話題を前提に、お伺いしていきます。日本は投資人口は少ないものの、堅実に貯蓄をしている人が一定いる印象ですが、政府などの調査データでは、「お金について不安」と回答する方が多いのも長らく変わっていない気がしています。この不安の正体についてはどう見ていますか

瀧さんに聞く!金融教育の『本質』(前編)

今回からFintech研究所瀧の対談シリーズ特別編として、これまで8年間金融教育に携わってきた瀧から見た、金融教育の「本質」とは何かについてインタビュー形式でお送りします。 金融教育が、ついに動きだした。 有馬:瀧さんは創業初期から金融教育に関するセミナーやイベントを実践してきましたが、これまでその考え方をまとめてお話する機会がなかったかなと思っています。 そこで今日は、金融教育に対する考え方を改めてまとめるために、瀧さんに何でも聞いちゃおう!ということで、私Fintec