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Fintech研究所

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マネーフォワードCoPA(Chief of Public Affairs)の瀧と、パブリック・アフェアーズを担当するメンバーが、Fintechに関する情報や政策動向等について発信…
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記事一覧

良いお年をお迎えください(2024)

今年も大変お世話になりました。 本年の本業におけるハイライトは、政策提言・研究活動の両面で権限移譲が圧倒的に進んだことです。政策面では私が2015年のFintech元年から信頼している植木さんが、研究面では日本で一番オープンバンキングを調べている廣瀬さんがそれぞれ、見事なお仕事をされました。 したがって、私の業務報告はなぜか書籍紹介コーナーを兼ねます。以下、どうぞ。 1.情報空間の健全性に向けた議論 タイトルにひるまず読んでいただきたいです。私たちのフィルターバブルや

自分のデータを自分のために活用できることが当たり前の社会に―「次期消費者基本計画」への期待(パブリック・コメント実施中!1/23〆切)

年末ですね。私個人としては、結果的に消費者政策の記事ばかり書いた1年でした。最近の消費者政策の議論が、まさにマネーフォワードのValuesである「User Focus」「Tech & Design」「Fairness」を反映しているところがあり、強く共感していることがその背景です。今年最後となるこの記事では、12/25にパブリック・コメント(意見募集)が開始された「第5期消費者基本計画案」について、ご紹介します。 この記事でお伝えしたいこと(サマリー) 2025年4月から

消費者委員会「消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会報告書」について

こちらのシリーズで消費者政策の動向をご紹介してから、半年ほどが経ってしまいました。時が経つのは早いですね・・・ され、この連載の最終回でご紹介した「消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会」の報告書が12月4日に公表されました。 私たちの登壇資料やサービス事例も掲載していただいており、それもとてもありがたいのですが、それ以上にこの報告書の内容がすばらしいので、ぜひ1人でも多くの方に読んでいただきたいと思っています。(私が宣伝したところで影響力はないでしょうけど

「Fairness」を信条に、よりよい社会を創る | パブリック・アフェアーズ室の活動とは?

こんにちは、マネーフォワード パブリック・アフェアーズ室です。 いつもはFintechに関する情報や政策動向等について発信しているのですが、社外の方から(ときには社内からも…)「パブリック・アフェアーズ室はどんなことをやっているのか」という質問を受けることが多く、今回は少し毛色を変えまして、室のミッションや活動内容などについてメンバーのコメントも交えながら、ご紹介したいと思います! また今回、募集ポジションを2つオープンしましたので、少しでもご興味がある方は、ぜひお話を聞

銀行口座から公益サービスまで、世界各国で進むオープンAPI政策と日本の現在地

 以前に当研究所のnoteでもご紹介をしていた各国のオープンAPI政策(オープンバンキング制度を含みます)についてですが、その後EU、米国などでも制度改正や新規導入などの動きがありました。  本稿ではそれらの動きも紹介しつつ、オープンAPI政策の全世界的な状況を、改めて解説したいと思います。 <過去の関連note> そもそも「オープンバンキング」「オープンAPI」とは?  「オープンバンキング」は、一般的には銀行にある入出金履歴などの金融データに、家計簿サービスや会計サ

カナダとニュージーランドのオープンバンキング制度

 これまでのnoteで欧州、米国などのオープンバンキング制度をご紹介してきましたが、今回はカナダとニュージーランドの制度をご紹介します。  両国とも隣国である米国、豪州のオープンバンキングの制度の影響を受けていますが、独自に進化している部分もあります。例えばカナダは「Reciprocity」と呼ばれるデータの相互融通の仕組み、ニュージーランドでは豪州には無い送金の機能が追加されており、各国がそれぞれの国の実情に応じて、進化を遂げている状況が分かります。 <過去のnote>

【Society Forward対談 | 牧島かれん氏・後編】実現したい日本社会を目指して、少しでも前へ。

”日本の未来を前に進めるビジョンとそれを実現するための政策”に焦点をあて、社会を前へ進めるキーパーソンへ、マネーフォワードFintech研究所長である瀧がお話を伺う新連載「Society Forward対談」。衆議院議員・牧島かれんさんとの対談の後編となります。 (※この対談は、2024年8月20日に実施しました) 前編はこちら。 議員人生は「山登りの連続」。転んでも少しずつ前へ。瀧:牧島さんは、選挙に当選するまでは研究者として活動されていましたね。研究者の世界と政治家の

【Society Forward対談 | 牧島かれん氏・前編】これからの日本に必要な、若者と女性の力

私たちマネーフォワードは「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションとしており、すべての人のお金の課題を解決し、チャレンジできる社会づくりを目指しています。今回から、”日本の未来を前に進めるビジョンとそれを実現するための政策”に焦点をあて、社会を前へ進めるキーパーソンへ、マネーフォワードFintech研究所長である瀧がお話を伺う新連載「Society Forward対談」をスタートします。 第一弾は、衆議院議員の牧島かれんさんです。第2代デジタル大臣であり、今年6月の自民

【World Fintech News ゲスト対談】ブルーモ証券CEO中村仁さん 〜創業秘話、日本と世界の投資環境の違い、注目のFintechトレンドまでマニアックトーク〜

マネーフォワード Fintech研究所は、「mffm」というPodcastにて海外のFintechに関するニュースを隔週ペースで読んでいく「World Fintech News」を運営しています。 Apple Podcastはこちら Spotifyはこちら さて今回のゲスト対談は、米国株資産運用アプリ「Bloomo」を提供するブルーモ証券株式会社の代表取締役 CEOの中村仁さんをゲストにお招きしました。 日本経済や投資環境への課題意識からブルーモ証券の創業に至った経緯

【World Fintech News ゲスト対談】日経BP編集者 石さん 〜マイケル・ルイス最新刊「1兆円を盗んだ男 仮想通貨帝国FTXの崩壊」を語る〜

マネーフォワード Fintech研究所は、「mffm」というPodcastにて海外のFintechに関するニュースを隔週ペースで読んでいく「World Fintech News」を運営しています。 Apple Podcastはこちら Spotifyはこちら これまでは「耳」だけのコンテンツでしたが、不定期で配信する「ゲスト対談」については「目」でも楽しんでいただけるよう、今後一部は動画としても公開することにいたします! さて今回のゲスト対談は、マイケル・ルイスの最新作

消費者保護に立脚した米国のオープンバンキング制度

 以前に当研究所のnoteでもご紹介をしていた米国でのオープンバンキング制度の導入について、昨年10月に米国の消費者金融保護局(CFPB: Consumer Financial Protection Bureau、以下「同局」)が制度案(以下「本制度案」)の詳細を公表しました。全体としては「他国のオープンバンキング制度の状況に良く学んだ」と同局が公表しているとおり、現在のオープンバンキングの実相を適切に把握していると感じられる内容となっています。今回は、本制度案の内容を紹介し

世帯や家族構成に縛られない社会への期待ー自民党幸齢社会PT提言よりー

2024年5月に自民党 社会保障制度調査会 誰もが安心して歳を重ねることができる「幸齢社会」に向けた包括的支援プロジェクトチーム(幸齢社会PT)から、「『新しい社会保障』に向けて」と題した提言が出されました。 そこで、以前、このPTにも関わっているある議員の方とお話する機会があり、それ以来個人的にも気になっていたテーマ ―家族や親族を前提としない社会をどのように考えるか― について、この提言をなぞりつつ書いてみました。 「身寄りのない独居者」という社会課題 提言のサブタ

シリーズ:消費者政策の新展開を読み解く【リンク集】

2024年5月28日~6月10日にかけて公開した全7回の記事や関連サイトへのリンク集です。近接領域の記事を出した際には追加します。 記事へのリンク関連サイトへのリンク有識者懇談会の開催履歴の他、報告書(消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会における議論の整理)やその概要資料、参考資料などもこちらから取得できます。 消費者委員会についての基本的な説明に加えて、委員会本会議や各部会などの開催履歴・開催予定などへのリンクもこちらにあります。

消費者政策の新展開を読み解く~「消費者をエンパワーするデジタル技術」~【全7/7】

前回紹介した「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」に続いて、2024年4月30日に「消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会」が議論を開始しました。 6月5日に開催された第2回会合では、私たちもヒアリングの機会をいただき、グループ執行役員 CoPA、Fintech研究所長の瀧から当社のサービスの概要や制度上の課題などについて説明しました。 第1回会合からこの専門調査会の課題設定や議論の進め方を、また、第2回会合から、私たちマネーフォワードがなぜこ