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"Money Forward Lab" 研究員が世界有数の機械学習に関する国際会議(ACML)に参加して、新たにした研究のモチベーション

こんにちは!マネーフォワード広報担当の早川です。
世の中には、私たちの知らないところで、数多くの国際会議が開かれているようです。

今回、今年11月に入社したばかりの "Money Forward Lab" 森田研究員が、11月17日(日)〜19日(火)まで愛知で開催された、主にアジア・オセアニア領域の研究者が集う、世界有数の機械学習に関する国際会議(ACML)に参加してきたそうなので、少しだけ話を伺ってみました。
(ちなみに私は、学生時代から超がつくほどの文系だったので、話が理解できるかちょっと不安でした・・(笑))

■話し手
"Money Forward Lab"(以下「Lab」) 研究員 森田 大樹
東京工業大学情報理工学院修了。大学院時代は数理モデリングの手法を用いた脳神経科学の研究に携わる。 大手インターネット企業でマルチビッグデータシステムの開発・運用業務に従事した後、個人事業主として独立。現在スキルアップAI講師やThink ITへの寄稿などと並行し、"Money Forward Lab" 特別研究員として金融系データの解析業務を行う。2018年、ショウジョウバエ大規模ニューラルネットワークの数理モデリングの分野でIEEE Computational Intelligence Society Japan Chapter Young Research Award受賞。

■聞き手
広報 早川 有紀

哲学領域にある感情や意識を、科学的にアプローチすることを夢見た大学院時代

早川:今日はよろしくお願いします!

森田:よろしくお願いします。

早川:まずは森田さんの自己紹介をお願いします。これまでどのようなことをやってきたのですか?

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森田:大学時代の専攻は電気情報工学科だったのですが、実は心理学を研究していました。もともと人間の感情や意識にすごく興味を持っていて、その素晴らしさはわかっていたけど、形がないものなので、「なぜ生成されるのか?」「一体どのようなものなんだろう?」と疑問に思っていました。そのため、「数学やコンピュータを手段として、人間の感情や意識を解明できたらいいな」と考えたのが研究室に入った理由です。ただ、学部時代の研究室は、実験をメインにデータ解析をしていて、それを証明するところまでできないもどかしさがあり、大学院は脳神経を理論研究できるところに変えました。本来、哲学の領域にある感情や意識といった主観的なものたちを、科学的なアプローチで捉えていくのが楽しいんですよね。その解明していく手段として、脳を数学で表すのですが、私の場合は、「数理モデリング」を使ってアプローチしていくという手法になります。

早川:「数理モデリング」・・・?さっそくわからなくなってきました。私のような初心者のために、もう少し詳しく教えてください。

森田:「数理モデリング」とは、複雑な現象の中から、本当に欲しいものを抽出して数式で表す(モデル化する)ことを言います。例えば「地球儀」は、すごく複雑な「地球」という世界の中から、位置関係や国の数といった、人間が必要な情報だけを抽出してできたものです。こうした「本当に欲しい情報」を抽出する際に、「数学」を使うと、「数理モデリング」となります。私は脳神経科学の研究室にいましたので、脳を数式で表すモデリングをしていました。

早川:へえええ!すごく面白そう!でも、私にはどんな数式になるのかまったく想像がつかないです(笑)

マネーフォワードのデータには、ユーザーの幸せにつながる無限の可能性がある

早川:ところで森田さんは2018年に、「IEEE Computational Intelligence Society Japan Chapter Young Research Award」を受賞したそうですね。これはどのような賞なのでしょうか?

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(写真一番右下が森田研究員)
(引用:http://www.ieee-jp.org/section/tokyo/chapter/CIS-11/?TopPage-J%2FYRA-J)

森田:人工知能研究の一分野である計算知能 (Computational Intelligence) に関わる領域で、35歳以下の優れた論文発表者を表彰する賞です。

早川:この賞を24歳で受賞したということは、大学院修士の学生が、中堅研究者と同じ土俵で戦って優勝したということですよね。すごいです!

森田:実は大学院で所属していた研究室は、その分野では有名なんです。同じ研究室の先輩でも、同じ賞を受賞した人がいます。

早川:そんな森田さんが、 Lab にジョインした経緯を教えてください。

森田:所長の北岸さんとは、もともと同じZホールディングスグループで働いていた時の水泳部の先輩後輩であり、プライベートで一緒にロードバイクの大会に出たりする仲でした。ある時、私が北岸さんに、機械学習スキルを学べる学習プラットフォーム「スキルアップAI」で、副業として数学を教えているという話をしたところ、北岸さんが興味を持ってくれたことがきっかけです。すごい経歴を持っている北岸さんと一緒に働いてみたかったし、その時に聞いた研究テーマにもとても惹かれて、ジョインすることにしました。

早川:これから Lab で何を研究し、どんなことを実現していきたいですか?

森田:マネーフォワードが保有しているデータは、宝の山だと思っています。私は、「ある人間の本質は、表層の言動ではなく、実際の行動でしかわからない」し、「その実際の行動の中にその人にとっての『幸福』が埋もれている」と考えています。そのため、マネーフォワードのデータには、ユーザーの幸せにつながる無限の可能性があるのではないかと期待しています。でも、これまではそのデータをうまく活用できず、眠ってしまっていました。それを、ユーザーのみなさんにとっての価値に還元できるような世界を実現していきたいですね。

ACMLで世界のレベルの高さを痛感して、研究のモチベーションに

早川:ありがとうございます!それではそろそろ本題に移りたいと思います。
今回森田さんが参加した "ACML” という国際会議は、ふだん機械学習に関わっていない私たちには聞きなれないのですが、どのようなものなのでしょうか?

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森田:アジア・オセアニア地域の研究者が集い、機械学習に関する研究成果を発表する、世界有数の国際会議です。日本の機械学習分野をリードしている、東京大学大学院の教授であり、理化学研究所革新知能統合研究センター長でもある杉山 将先生も、この国際会議に参画しています。今回は、今後の Lab での研究に活用できそうな技術や先端の機械学習技術を調査するために、ACMLに参加してきました。

早川:先日、当社のエンジニアブログにも参加レポートを公開していましたね。ACMLに参加してみて、いかがでしたか?

森田:国際会議で取り扱う課題・手法・データは本当に多岐に渡っており、満遍なく知見を得られる素晴らしい学会だったと思います。私は1年半ずっと実務にいて研究の世界から離れていたので、世界の研究レベルの高さを痛感して、「これから研究をがんばらなければ」というモチベーションにつながりました。

余談ですが、今回は名古屋の能楽堂での発表なんかもあり、人生初の能楽堂が学会発表ということで、ちょっとテンションが上がりました(笑)

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早川:それはテンション上がります!今後の Lab の活動に活かせそうな発表はありましたか?

森田:たくさんありました!たとえば、機械学習は、教師データという、問題とその正解を集めた問題集を用意しなければならないのですが、実はそれをつくるのは、時間的にもお金的にもすごく高コストなんですね。正解(ラベル)が少なかったり、もしくは全くついていなかったりする場合でも、上手く学習できるような仕組みがあれば、サービスを開発する側としては非常に嬉しいですよね。

そういった仕組みの1つが「転移学習」と呼ばれるものですが、その手法についての先端の知見を得られたのは、大きな成果です。研究のコスト削減にも役に立つので、これからの Lab の研究にも役立てていきたいですね。

早川:今日はありがとうございました。ユーザーのみなさんに価値を届ける、素晴らしい研究成果を楽しみにしています!

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