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「データ×ITによる新たな融資の選択肢で、中小企業の資金繰りをサポートしたい」 マネーフォワードファインが『Money Forward BizAccel』をついにサービス開始!

こんにちは!広報の早川です。
この度、マネーフォワードのグループ会社であるマネーフォワードファイン(以下、MFファイン)が、中小企業向けに新しいオンライン融資を提供する『Money Forward BizAccel(マネーフォワード ビズアクセル)』をサービス開始しました。『Money Forward BizAccel』とはどんなサービスなのか?このサービスでどのような社会課題を解決したいと思っているのか?MFファインのキーパーソンである3名に、いろいろお話を聞いてきました!

■話し手
MFファイン 代表取締役社長 家田 明(トップ写真中央)
同 プロダクト開発グループ グループリーダー 上野 賢史(トップ写真右)
同 経営企画グループ グループリーダー 梶 芳朗(トップ写真左)

■聞き手
広報 早川 有紀

規制業法がある業界で初めてゼロからネット金融事業を立ち上げ

早川:まずはサービス開始、おめでとうございます!今回新しくスタートした『Money Forward BizAccel』はどんなサービスなのか、改めて教えてください。

梶:一言でいうと、データを活用した、主に中小企業向けのオンライン融資サービスです。従来、金融機関の融資審査は、決算書といったさまざまな書類や、担保などの保証が必要だったりと、時間やコストがかかるため、中小企業にとってハードルが高いものでした。我々の想定する中小企業の方々は、経営者が本業で忙しくしており、なかなか資金のことを考える時間もなく、少人数で経営されているため、専任のCFOもいない。そうした事情から、資金調達について困っている方が多いと認識しています。それに対して、私たちが提供する今回のサービスは、『マネーフォワード クラウドシリーズ』の会計データなどにもとづき、オンラインで中小企業の様々な資金ニーズにスピーディーに対応していきたいと思っています。

早川:ありがとうございます!ちなみに今回提供する、データとITを取り入れたオンライン融資(※1)という市場は、どのくらい成長が見込まれているんでしょうか?

梶:欧米や中国では、すでに一般的になってきています。特に米国では、日本円で4兆円を越える規模(※2)に達するほど市場が拡大し続けており、注目されている事業領域となっています。日本ではまだこれからですが、当社のようなサービスも出てきており、また実証実験を始めている金融機関もありますので、今後、日本でも普及してくるのではないかと期待しています。

早川:サービス開発の方はかなり苦労されたんですか?

上野:サービス開始のために、昨年から貸金業者登録の準備をしていたのですが、それが思ったより大変で…。当社グループのCEOである辻さんをはじめ、いろんな社員の「身分証明書」がまず必要だったのですが、私たちがそれを運転免許証のコピーなどで対応できると勘違いしていまして…戸籍のある市役所まで問い合わせて取り寄せなければならない法的書類のことだと思っていなかったんですよね。そんな失敗もあり、しょっぱなからかなり時間がかかってしまいました

早川:うわー…それは大変そうですね。

梶:実は、マネーフォワードグループとして規制業法がある業界でゼロからネット金融事業を立ち上げたのは、初めてのことだったんですよ。私自身も、過去に何度か新規事業に携わってきましたが、規制業法のある業界は初めての経験でした。そのため、社内の法務部や弁護士の先生方、日本貸金業協会の方々にいろいろご指導、ご協力をいただきながら、法規制の制約のもとで最大限ユーザーのためにできることをチームで模索していましたね。

上野:そうですね、法規制にのっとったビジネスを行なうために丁寧に進めた結果、通常の新規サービス開始の2、3倍は大変な思いをした印象です。また今回のサービスは、当社グループ内の『マネーフォワード クラウドシリーズ』のデータを利用するため、社内のさまざまな部署との連携も多く、こちらも丁寧に進めました。しかし、このような煩雑なプロジェクトにもかかわらず、昨年7月にプロジェクトを正式にスタートし、この短期間でサービス開始できたのは、やはりマネーフォワードグループの社員がみんな同じビジョンを共有しているため、私たちのサービス開発に協力してもらえたということが大きいと思います。

早川:ありがたいですね!

上野:それから、優秀な開発人材を確保するのにも苦労しました。でもなるべく早くサービスを開始したかったため、最もスピーディーに開発できる方法は何かと考えたところ、自分が一番このプロジェクトにコミットしていることから、自分で開発するのが早いなという結論に達しました。そこで、マネーフォワードグループでは当初ビジネス職として働いていたのですが、このサービスのために、今年に入ってからエンジニア職に職種を変更し、自ら開発に携わることになりました。前職ではエンジニアの経験もあったのですが、最新のエンジニアリングはさすがに変わっていたので、土日も開発の勉強をしていましたね。

早川:職種変更ってすごいですね!ということは、『Money Forward BizAccel』は社内で開発したんですか?

上野:はい、社内開発です。はじめはMFファイン内で開発を進めていたのですが、今年に入ってから、当社グループの開発拠点であるベトナム法人にも一部開発を担ってもらっています。実は今度はじめてベトナムへ出張する予定なのですが、今からイングリッシュネームを考えています(笑)。

早川:ベトナム法人はみんなイングリッシュネームで呼び合いますからね(笑)。

『Money Forward Lab』との連携の可能性

早川:今回のサービスは、そもそもどのような思いでスタートしようと思ったのでしょうか?

家田:私は、30年間の日本銀行勤務を経て、昨年9月にマネーフォワードグループにジョインしました。日銀時代から金融機関の考査を長く担当していましたが、その中で、金融機関からきちんと中小企業にお金が渡っていない現状を目の当たりにし、大きな問題意識を感じていました。金融機関にとって中小企業は、小口融資のためコスト割れしてしまい、どうしても貸せない層というのが出てしまいます。そうしたエアポケットのようにぽっかり抜けた層の方々に資金を届けるのは、とても大事なことだと思いました。

早川:そんな課題があったんですね。

家田:そして、たまたま日銀で最後に務めた金融高度化センター長というポジションで、「企業の受注データを用いた信用度評価」というプロジェクトを手掛けたところ、面白いことがわかったんです。そのプロジェクトは、企業の生の「受注データ」をもとに信用評価を行ない、デフォルト(債務不履行)率を算出するというものでした。従来の手法ですと、信用評価には財務諸表などのデータを使用します。一方、今回用いるのは「受注データ」ですから、より「生」に近いデータであり、企業の金銭的経済活動のほぼすべてをそのデータから把握することができます。その分析の結果、「受注データ」にもとづいて算出するデフォルト率は、非常に実感に合うものだったんです。例えば、トヨタグループからの注文を安定的に請け負っている企業の場合、みなさんの実感からすれば、信用度は高いと思いますよね。でも、従来の手法である財務諸表データからデフォルト率を算出すると、相当高くなってしまうんです。一方で、受注データを用いてデフォルト率を算出すると、実感通りの水準になります。そこで、今回のサービスのように、『マネーフォワード クラウドシリーズ』の会計データを用いて、よりリアルな与信モデルを構築するというのは、実感に合う素晴らしい手法だと思いました。

梶:私はもともとマネーフォワードの社長室で新規事業の調査をしており、その一つがレンディング分野でした。そのリサーチの一環で、日本の景気が良くなっているのに中小企業にはお金がぜんぜん届いていない実態を知り、「これは許せんな」と思ったんです。貸金業法の改正もあり、リスクマネーの供給主体であるノンバンクの貸付が減っているんですよね。実際に中小企業にアンケートを取ってみると、「なんとか支払いを遅らせたい」とか「なんとか身内に頭下げてお金を工面している」という方が多いんです。私自身も起業した経験があり、そうしたお金に関する苦労をよく理解しています。中小企業の経営者がそのようなペインから解放され、本業に集中できるようになってほしいという強い思いがあり、今回のサービスを立ち上げようと考えました

上野:私はマネーフォワードグループがもつデータに価値を見い出し、この会社に入社した経緯があります。MFファインにジョインする前は、マネーフォワード本体のデータ基盤グループに所属し、ユーザーから預かった大切なデータをどう活用するかということを考えていました。この大切なデータをより価値の高いものにし、ユーザーに還元したい、ユーザーを幸せにしたいという思いで、今回のサービス開発業務に携わることになりました。

早川:ちなみに、今年3月にマネーフォワードグループのデータを利活用する研究所として設立された『Money Forward Lab』と今後連携していく可能性はあるんですか?

上野:実は『Money Forward BizAccel』は、お預かりしているデータを利用してサービスを開発した、マネーフォワードグループ初の事業でもあるんです。まだ私たちのサービス自体が立ち上がったばかりですが、『Money Forward Lab』とは、どういうテーマで研究、分析を一緒に深掘りしていけるかという話はしています。『Money Forward Lab』はデータを利活用するための基礎的研究をしてそれを新しい価に繋げていくという積み上げのコンセプトで、『Money Forward BizAccel』は逆にお客様やマーケットのニーズからソリューションを考えていくというマーケットインのコンセプトです。そのため、お互いの矢印がちょうど交わるところを探している感じですね。これから様々な協業の可能性があると思っているので、ワクワクが詰まっている感じです!

早川:楽しそうですね!

マネーフォワードグループ全体で中小企業を応援していきたい

早川:それでは、『Money Forward BizAccel』をどのような方に使ってもらいたいでしょうか?

梶:ペルソナをいくつか設定させていただいています。従来の融資や資金調達を受けづらい方、具体的には、代表一人で切り盛りしていて従業員が足りていない方、年商だと一億円以下の方、経営が非常に大変で朝から晩まで現場に出ている方などですね。私たちのサービスはスマートフォンに対応しており手軽に融資審査ができるため、多忙な方にはぴったりです。なるべく申し込みをわかりやすく、サクサクと進められることを意識して開発しましたので、ITにあまり詳しくない方でも利用しやすいようになっています。またカスタマーサポートも強化していきます。従来お金を借りることに対して抵抗があった方、またノンバンクでは断られてしまった方など、なるべく幅広い方に資金調達のオプションとして考えていただければと思います。

家田:これまで中小企業の多くは、「金融機関はお金を貸してくれない」と思い、親族や友人などから資金を提供してもらっていたのではないでしょうか。データとテクノロジーを活用して中小企業の方々が借りやすくなる状況を実現できれば、資金繰りの悩みが軽減されることによって、より中小企業の方々が本業に注力できることになるため、生産性の向上につながると考えています。日本には300万社ともいわれる数の中小企業がありますので、その1つ1つが生産性を高めていけば、日本全体の生産性も飛躍的に向上する可能性を秘めています

梶:経営状態の良い時も悪い時も、攻めと守りの両面で中小企業に寄り添い、スピーディーに中小企業の方々をサポートしていければと思っています。私たちマネーフォワードグループは従来から、企業の設立や会計業務、給与計算などの業務を効率化するサービスをクラウドで提供してきました。そのラインナップの1つとして、今回のサービスも提供しています。私たちはチームオールで中小企業を元気にしたいという思いで、事業の成功や業務の効率化に対する応援をしていきたいと考えています。融資という行為は、あくまで結果の1つに過ぎません。その前のプロセスには、「お客様を理解すること(信用を可視化すること)」があります。これまでは「信用」を得られなかった方々に、私たちのデータ×ITを活用して光をあてていくというのは、社会な意義を感じています。たとえば起業したばかりの会社は、まだ実績もなく、第1弾の「信用」を得ることが難しいですよね。そういったときに、マネーフォワードグループから資金調達ができたという第1弾の「信用」を得ることで、「信用」が伝播し、その後の資金調達をしやすい世界にしていきたいですね。

早川:素晴らしい世界ですね!そのような世界を実現するために、サービス開始後は直近でどのような動きを予定しているんですか?

梶:『マネーフォワード クラウドシリーズ』は『マネーフォワード クラウド確定申告』という個人事業主向けのサービスも展開しています。私たちは、より「信用」の光があたりづらい個人事業主へも同様に融資機会を提供すべく、融資の専門家が複数参画しているので、年度内にサービスを開始したいと考えています。また、金融機関ともなるべく早いタイミングで提携していきたいですね。金融機関と提携して新しい金融サービスをつくる『マネーフォワード X』を立ち上げた上野さんもMFファインにジョインしているので、デジタルトランスフォーメーション(※3)をはじめとする金融機関が抱える課題の解決を提案していきたいと考えています。

早川:それは楽しみです!

早川:最後にこのプロジェクトで記憶に残っている思い出があれば!

上野:そういえば、貸金業者登録をするには、貸金業務取扱主任者という資格を取らなければならないのですが、その試験勉強がマジで大変でした…。

梶:そうだった!私は3か月前から計画的に勉強して試験を受けたのに、上野さんに点数負けてしまって。悔しかったです(笑)。

上野:2週間前から短期で合格を目指したのですが、まさか梶さんに勝ってしまうという(笑)。

梶:超要領いいなと思いました(笑)。ちなみにMFファインの社員は全員、貸金業者取扱主任者の資格取得を目指しています。みんなに資格取得を目指せって言う手前、自分が試験に落ちてしまったら示しがつかないというプレッシャーは強かったですね(笑)

早川:今日は面白いお話をありがとうございました!これからの展開が楽しみですね。

※1 オルタナティブレンディング:従来の融資とは代替的な手法で提供されている融資商品の総称
※2 出典:「REACHING NEW HEIGHTS THE 3RD AMERICAS ALTERNATIVE FINANCE INDUSTRY REPORT December 2018」より(2017年:42.81$billionsの日本円換算)
※3 デジタルトランスフォーメーション:「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念で、ビジネス用語としては「企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」という意味で多く用いられる

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